最適な医師の転職

約束の1時半より15分早く手術に革命をもたらした内視鏡下手術。 しかし、外科医が手術器具をあやつるには、視野や動きに難点があった。
そこへ登場したのが、外科医の手の動きを忠実に再現する手術支援ロボットである。 K義塾大学病院では、「ダヴィンチ」が手術チームの一員として活躍し、患者のからだに負担の少ない手術を実現している。
腹腔鏡や胸腔鏡下手術のような内視鏡下手術は、鍵穴ほどの小さな切開だけで臓器の病変を摘出することができる。 おなかの皮(腹壁)の内側の空間に針を刺し、ガスを注入してふくらませ、内部のガスもれを防ぐ弁のついた筒を挿す。
医師は内視鏡をひとつの切開孔から入れ、ほかの切開孔から必要な手術器具を入れて、内視鏡の映像をみながら手術するのである。 1987年にフランスで内視鏡下の胆嚢摘出術が初めておこなわれ、90年に日本にも導入された。
手術後の痛みがきわめて軽く、回復が早いうえ、傷も目立たないことから、患者のQOl(生活の質)を向上させる手術としてさかんにおこなわれるようになった。 現在では、大半の胆嚢摘出がこの方法でおこなわれるほか、胃や食道、大腸、肝臓、副腎など、多くの臓器の疾患に適用されている。
また、乳腺、甲状腺、末梢血管、あるいは整形外科などで入ったが、すでに患者は入室していた。 69歳の男性。
逆流性食道炎である。 看護師とME(臨床工学技士)が4人、準備にかかっている。

私は患者の足側の隅に、身を小さくして立った。 患者の頭のほうに、透明のビニール袋で覆われた「エイリアン」のような機械が吃立している。
今日の主役、科学と芸術の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの名を冠した手術支援ロボットの「ダヴィンチ」である。 目の前で、看護師が棒状のものを次々と袋からとりだしている。
ダヴィンチの「手」となる専用紺子だ。 不具合がないか注意深く観察し、動きをチェックする。
棒の先端に数ミリほどのハサミやメスがついているのが、私にもかろうじてみえた。 午後1時30分。
O医師をはじめ3人の医師が手術室に入ってきた。 患者の腹部にメスで小さな穴を開け、ワインオープナーのような器具をグリグリと挿しこむ。
内視鏡が入ると、カラーモニターに鮮明な腹腔内の映像が映しだされ、紺子やメスの動きが手にとるようにわかる。

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